治効の素地

ギックリ腰などで「鍼に行ったら一発でよくなった!」という話を耳にすることが多いかもしれません。

事実、鍼は急性の症状、特に筋肉が強張っている状態に対しては、単に筋肉の硬いところに鍼をすると楽になることが多いと思います


ただこれは一時的に血流が促進して楽になっただけで、「なぜギックリ腰になったか」という根本的な原因の解決にはならないと考えています。


ちなみにギックリ腰は「重いものをもったから」という直接の要因はあるかもしれませんが、それ以前の積み重なりがあってのことなので、お気をつけください...


さて前置きが長くなりましたが、タイトルの治効の素地という話です。

治効とは治療の効果ということですが、鍼灸治療の効果が出やすいカラダをつくろうというものです。


古典や昭和のはじめ頃くらいまでに書かれた本では、慢性的な病気などが名人の治療によって立ち所に治ったという話が頻繁に登場します。


これはもちろん治療者の非常に優れた技術や能力があってのことではありますが、それ以外に患者自身が鍼や灸などの治療に対応、反応しやすいカラダであったのではないかとも考えています。


古代期の鍼は、製造技術の問題で現代のように細くしなやかなものとは違い相当な太さであったはずです。

この強力な鍼を正確にツボに入れるわけですから、全身に響くような鍼刺激があったのではないかと想像しています。


さらにその治療の後は、7日程度安静にするということだったようなので、現代の外科手術並みのことだったのでしょう。

こういった治療は今では少々厳しいので、もう少し時代を上げて考えたいと思います。


日本の明治、大正、昭和初期くらいまでの治療の文献でよく見られるのが、お灸による治療です。

このころの治療の効果についても「たちどころに...」という内容が見受けられます。


重ねて言いますが、治療自体のクオリティーが非常に高度なものであったはずです。

ただそれ以外に患者が子供のころから家庭でお灸の治療をしていたり、悪いことをして文字通り「お灸を据えられていた」などの背景があったはずです。


それ以外にも皮膚の強さが今とは違っていたり、食物の内容も今のように無菌ではなく、そもそもの免疫力に大きな違いがあったのだろうと思います。


今と比べて当時の「強いカラダ」は、それなりに強い刺激にも耐えられたり、反応もしやすかったのではないかと想像していて、ゆえにカラダの回復能力も強く、重い病気でも「たちどころに...」という効果が出やすかったのかもしれません。


さて、では現代ではこういったことが期待できないのか?というとそうではなく、ある程度定期的に鍼灸治療を受けたり、普段から「せんねん灸」などでツボの刺激をするなどして、鍼灸が効きやすいカラダをつくっておくことができると思います。


これは営業や宣伝の話ではなく(笑)、たとえ病気になっても「たちどころになおる」ための準備と考えていただければと思っています。


もちろん我々鍼灸師も前述のような話を言い訳にして、しばらく通ってくださいと軽々しく言うのではなく、「たちどころに治す」ため惜しみない努力で励みたいものです。